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2025/07/01弁理士ブログ

種の起源

 以前よりも自分の時間が持てるようになったので、本を読む時間が増えています。小説などよりは、今まで知らなかった事実に目を開かせられる本、様々な細かい物事(ものごと)が書かれた本の方を面白く読んでいます。実に様々な分野で研究をしている人たちが居られ、どんどんと新しい事実が発掘されており、しかもその発掘の量と速度が加速度的に増加しているのが分かり、いつも刺激を受けます。AIが新事実を発掘することはできませんので、ここはやはり人間の独擅場で、安心するところです。

  この間読んだのは、本の作り方の本でした(岩波ジュニア新書「本ができるまで」)。グーテンベルクによる印刷の歴史から始まり、紙の漉き方、裁ち方、製本まで説明されています。その中に、ダーウィンの「種の起源」の原著の表紙の写真が掲げてありました。

種の起源.jpg

https://ja.wikipedia.org/wiki/種の起源

 原題は"On the Origin of Species by Means of Natural Selection, or the Preservation of Favoured Races in the Struggle for Life"と読めます。そのまま訳すと「自然選択による種の起源、或いは、生への戦いの中での優れた種の残存」となるでしょうか。ダーウィンの唱えた説は日本語では「自然淘汰説」と呼ばれますが、"Natural Selection"「自然選択」ではなく、"Preservation of Favoured Races in the Struggle for Life"の方から「淘汰」とされたものと考えられます。

  現在、多くの種が絶滅の危機に瀕しています(WWFジャパン レッドリスト https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3559.html)。その原因は、気候変動によるものもありますし、ヒトの活動によるものもあります。気候変動によるものはNatural Selectionとなるでしょうが、ヒトの活動による絶滅はNatural Selectionになるのでしょうか。ヒトがNatureの一部であるかどうかにより、考え方が違ってきます。ヒトはあくまで自然の一部である、ということですと、いまの現象はNatural Selectionという自然法則に則ったものとなります。

  ヒトは自然から抜き出たものであるということになりますと、どこかで抜き出た点があることになります。AIが人間を追い越す点、シンギュラリティSingularityも同じような考え方でしょうか。私は、ヒトはいつまでも仏様の掌の上で遊ぶ孫悟空のようなものだと思っています。従って、AIも人間を追い越すことはないように思うのですが、さて。

小林 良平

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