おにやんま君
皆さんは「おにやんま君」という商品をご存じですか？
おにやんま君はその名前のとおり、日本最大の肉食トンボとして知られるオニヤンマを模した虫除けグッズです。オニヤンマは昆虫界において最強クラスの昆虫だそうで、時にはスズメバチも捕食するとか。そのため、虫たちは天敵であるオニヤンマの姿を認識すると、警戒して逃げていくそうです。
おにやんま君の使い方は至ってシンプル。目に見えるところにおにやんま君を取り付けるだけです。ストラップや安全ピンが付いているので、庭先等に吊るしたり、かばんや帽子に付けたりすることも簡単です。また、殺虫剤や忌避剤を使わないので、安全で、半永久的に使用することができます。おにやんま君は、このような今までの虫除け商品には無い特徴を有することから、アウトドアレジャーをする人達の間で大人気になっているそうです。
おにやんま君は意匠と商標が登録されており（商標登録5971736、意匠登録1575239）、商品パッケージや公式HPにもそのことが記載されています。では、特許についてはどうなのか、気になったので調べてみることにしました。
J-Plat-Patの特許・実用新案検索で「要約/抄録」の項目に「おにやんま オニヤンマ」のキーワードを入力して検索したところ、5件の公報がヒットしました。その内の2件が虫除けに関する出願でしたが、いずれもおにやんま君の出願ではありませんでした。
2件の出願の発明がどのようなものであったかを見てみると、
1件目（実登3239252）は、オニヤンマの図形を印刷した「虫除けシート」に関する発明で、2件目（特開平07-255352）は、オニヤンマの羽音を再生することで蚊を駆除する「蚊駆除装置」に関する発明でした。
・実登3239252「虫除けシート」
・特開平07-255352「蚊駆除装置」
1件目はおにやんま君の発売より後に出願されており、先行技術文献に、おにやんま君の意匠公報が挙げられていました。おそらく、おにやんま君のヒットに影響を受けて出願されたものと思います。2件目は今から20年以上前の出願になり、音で虫除けする点が異なりますが、オニヤンマを恐れて虫が逃げていくという習性を利用する点はおにやんま君と同じでした。（ちなみに、2件目の出願は、偶然にも弊所会長の小林が代理人として出願したものでした。公報を見てびっくりしました。）
実は、我が家の庭にも2匹のおにやんま君がいます。今年の夏、事務所の人から教えてもらい、初めは半信半疑で購入したのですが、おにやんま君を庭に吊るしてからは、家の周りを飛んでいた蜂を一度も見かけていません。たまたまかもしれませんが、一定の虫除け効果はあるのでは？と思っています。皆さんも、もし虫にお困りでしたら、「おにやんま君」を一度試されてみてはいかがでしょうか。