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2013/10/11弁理士ブログ

外国特許制度雑感

近年、弊所でも外国案件の業務が増えており、様々な国の知財制度に触れる中で、いくつか気にかかる制度があります。

例えば、米国に「IDS」という制度があります。
これは、特許の出願人は、出願した発明に関して自分が知っている情報(特に特許の成立を妨げるような不利な情報)を積極的に特許庁に開示しなければならないというもので、出願する前の調査で見つけた先行技術文献や、出願した後に見つけた文献などがこれに該当します。この「見つけた」には、自分で見つけた場合はもちろん、自分以外の、例えば米国以外の国の特許庁が見つけた場合も含まれます。
米国に出願する場合、同じ発明を日本やその他の国に出願していることが多くあります。このような場合、各国での審査の過程で何か文献が見つかると、その都度、決められた期間内(見つかってから3ヶ月以内)に米国特許庁に提出する必要があります。このとき、見つかった文献が英語で書かれていなければ、その英訳も併せて提出しておいた方がよいとされています。

もう一つ、最近インドへの出願が増えていますが、インドでは、同じ発明を他の国にも出願した場合、その他国の出願に関する情報(「出願が公開された」とか、「拒絶理由通知が出された」といったステータス情報)を決められた期間ごとにインド特許庁に知らせなければなりません。

カナダでも、「他国での審査の過程で引用された文献があれば、それを全てリストにして知らせるように」といった指令が特許庁から出されることがあります。

このように、他の国にした出願に関する情報を、程度の差こそあれ、出願人に開示するよう求める国が結構あり、このことが出願人の負担を増やしていることは否めないと思います。その点、日本はこのような負担を出願人に課すことは基本的にありません。そういう意味で、日本の特許制度は、いろいろ問題点もありますが、出願人にとって手続的にシンプルで比較的使い易い制度であるような気がします。
いずれにしましても、これだけネットワーク技術が発達しているわけですから、それに歩調を合わせて、各国特許庁間での情報の共有化をより一層進めてもらいたいものです。

中村 泰弘

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