鯖そうめん、鯖抜き。
滋賀県は、湖南、湖東、湖北、湖西という
4つの地域に分けられる、といわれています。
今回は主に、長浜市を中心とする湖北のお話をします。
湖北は、湖東(彦根市)の人間である私にとって、
言葉のイントネーションが異なるなど、
かなり文化の相違を感じる地域です。
湖北に独特の文化の1つと思われるのが、
「鯖そうめん」です。
鯖そうめんは、焼いた鯖を出汁で煮込み、
その煮汁でそうめんを煮たうえで、
そうめんの上に鯖を乗せたものです。
以前、県民性を取り上げた某民放のテレビ番組で
鯖そうめんが紹介されたときには、
出演者が、そうめんに鯖を入れるなんて信じられない、
という反応を示していました。
鯖そうめんは、湖北以外では普通に食されているものではありませんが、
彦根のスーパーには、出来合いのものが総菜コーナーに並べられています。
左の写真に示したのは普通の鯖そうめんですが、
右の写真に示したものには、
そうめんしか見当たらず、鯖が入っていません。
つまり、「鯖そうめんの鯖抜き」(!?)です。
牛丼屋で「牛丼の牛肉抜き」を注文するようなものでしょうか。
「ネギ(玉葱)抜き」ならば見かけますが...。
鯖から出た出汁がそうめんに染み込んでいるので、
鯖抜きでもよいのでしょうが、
おそらく、本場の湖北では、邪道でしょう。
そもそも、鯖抜きのものを「鯖そうめん」と呼んで良いのか...。
もし、商標登録出願を依頼されたら、
指定商品の欄にはどのように書けばよいのか、悩んでしまいそうです
(「鯖の煮汁で煮たそうめん」といったところでしょうか)。
ただ、このスーパーでは、
普通の鯖そうめん(370円)よりも、
鯖抜き(250円)の方が、よく売れているようです。
そういう私も、実は、鯖抜きの方ばかり買っています。