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2015/11/05弁理士ブログ

新しいタイプの商標

つい先日、新聞の記事やTV番組でも取り上げられていましたので、ご存じの方も多いと思いますが、新しいタイプの商標が、10月27日に初めて登録されました。

昨年の商標法の改正により、従来からあった文字や記号、図形、立体形状から成る商標に加えて、音、動き、位置、ホログラム、色彩に関する新しいタイプの商標の登録が認められることになり、今年の4月1日から新しい商標の出願の受付が開始されました。特許庁の発表によると、新しいタイプの商標の4月1日の出願件数は全部で481件、そのうち10月27日に登録が認められた商標は43件でした(特許庁発表資料:「新しいタイプの商標について初めての審査結果を公表します」<http://www.meti.go.jp/press/2015/10/20151027004/20151027004.pdf>、「登録を認める旨の判断をした新しいタイプの商標の一覧」<http://www.meti.go.jp/press/2015/10/20151027004/20151027004-1.pdf>)。

登録が認められた新しい商標の内訳をみると、「音」が21件、「動き」が16件、「位置」が5件、「ホログラム」が1件、「色彩」が0件で、音に関する商標が最も多く登録されました。ただし、4月1日の「音」の出願件数が151件、「動き」の出願件数が32件であったことを考えると、「動き」商標の方が「音」商標よりも登録率が高かったことが分かります。ちなみに、4月1日の「位置」商標の出願件数は103件、「ホログラム」商標は3件、「色彩」商標は192件でしたので、1件も登録が認められなかった「色彩」商標には、非常に厳しい審査結果となったようです。

商標とは、需要者がある商品やサービスに触れたときその商品やサービスは、だれが製造又は提供したものなのか、その商品やサービスの質としてはどのくらいのものが期待できるのか、といった事柄が分かるようにするために、商品やサービスに付される目印をいいます。つまり、商標は商品やサービスの出所を表示したり、品質を保証したりする機能を有します。従って、このような機能を有しない商標は従来からの商標、新しい商標に関係なく、登録を受けることができません。

「色彩」商標というのは、単色のみ、もしくは複数色の組み合わせのみからなる商標をいい、図形等と色彩が結合したものではない商標をいいます。例えば、商品の包装紙や広告用の看板に使用される色彩などが例として挙げられます。確かに、自社のイメージカラーというのを持っている企業は多数存在しますが、色だけで商品やサービスの出所等が分かるかというと、難しいようです。
「色彩」商標第1号が何色になるのか、今後の動向を見守っていきたいと思います。

市岡 牧子

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