インタビュー
特許の世界では、基本的に、書面でのやり取りを通じて物事が進められます。
私たちが特許出願の書面を作成して特許庁へ提出し、審査官がその書面を審査して結果を私たちに書面で通知する。それに対して、また私たちが書面で応答する・・・という具合です。
このように書面でやり取りをすることは、これはこれで合理的なシステムです。複雑で抽象的な発明の内容を口頭で説明することは難しく、間違いも起こり易いでしょう。
ただ場合によっては、書面での説明を補足する、あるいは、正式に書面で応答する前に審査官の考えを予め確認しておく、といった目的で、審査官と口頭でやり取りをすることもあります。このやり取りのことをよく(特に外国では)「インタビュー」と呼びます。
インタビューは大きく分けると、電話で話しをする場合と、審査官と直接会って(面談)話しをする場合があります。直接会って話しをする方が効果的でよいようにも思われますが、私たちのように、審査官の居る特許庁から遠く離れた場所に特許事務所があると、直接出向くのは時間的にも金銭的にも負担が大きいため、難しいのが現実です。逆に、審査官の方からこちらへ出向いてくれることもありますが、それは例外的な場合で、こちらの意思でどうにかなることではありません。
そういうわけで、必然的に、電話でのインタビューを試みることが多くなりますが、最近はいろいろな国で、電話インタビューが効果的と思われる場合には、積極的にこれを行うようにお勧めしています。例えば、審査官が単純な誤解をしていると思われる場合には、現地の代理人に電話で話しをしてもらうことで審査官の誤解が解け、その後書面で正式に応答をするにしても、スムーズに特許を取ることができることもあります。
日本でも、同じように電話でのインタビューを行うことがありますが、電話インタビューで話すことができる話題が基本的に限られており(新規性や進歩性といった実体的な話しは難しいです)、少し使い勝手が外国ほど良くはないと感じています。ただそれを言っても始まらないので、そこはやはり「書面で勝負」ということで、言いたいことを明確にするのはもちろんですが、書いてある内容が「すっ」と頭の中に入ってくるような読み易い書面となるよう、日々心がけています。日本語はその辺を曖昧にしようと思えばいくらでもできる(というか、そうする傾向にある)言語だと思いますので、日本語の文章を書く場合には特に注意するようにしています。