特許法等の改正案
特許庁より、3月11日の閣議において、特許法、実用新案法、意匠法、商標法等の改正案が決定された、との発表がありました。法案は現在開かれている通常国会に提出されます。国会での審議が順調に進んで可決・成立すれば、2015年4月に施行されると予想されます(下記(5)は、それよりも早く施行される見込みです)。
今回の改正案の概要は以下の通りです。
(1) 救済措置の拡充(特許、実用新案、意匠、商標共通)
出願人に災害等のやむを得ない事情が生じた場合に手続期間が延長される措置が拡充されます(登録料の納付期限、特許の出願審査請求の期限、特許・実用新案の優先権主張期限等)。
(2) 特許異議の申立て制度の創設
現行の無効審判とは別に、他人の特許に対して異議申し立てを行う制度が創設されます(2003年まで存在していた制度が復活します)。
申立ての期間は特許公報発行後6ヶ月以内で、誰でも請求することができます。異議申立てがなされた後は、特許庁の審判官が主体的に審理をして、特許したことが妥当であったか否かを判断しますので、異議申立人が関与する余地はほとんどありません。一方、無効審判はいつでも(特許消滅後も)請求することができますが、請求できるのは利害関係人だけとなります。また、無効審判では、審判請求後も審判請求人と特許権者が議論を出し合うことになりますので、審判請求人にとってはより使いやすい制度となります。
(3) 意匠の国際登録制度への加入
意匠の国際登録制度に関する国際協定(ハーグ協定のジュネーブ改正協定)に加入するための制度が整備されます。なお、国際協定への加入は、現段階では「検討中」とのことです。
今回の法改正が成立し、且つ、国際協定に日本国が加入すれば、特許(PCT)や商標(マドプロ)と同様に、国際登録出願を行うだけで、複数国に一括で出願することができるようになります。
(4) 商標の保護対象の拡充
これまでの商標法では保護の対象外であった「音」や「色彩のみ」の商標が、新たに保護の対象になります。
(5) 地域団体商標の登録を受けることができる団体の範囲の拡大
いわゆる「地域ブランド」を表す、地域名と商品・サービス名を組み合わせた文字だけの商標は、これまでは事業協同組合等の特定の組合しか登録を受けることができませんでしたが、新たに商工会、商工会議所、NPO法人も登録を受けることができるようになります。