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2014/02/07弁理士ブログ

特許制度あれこれ

特許に関する法制度は、世の中の動きに合わせて、大きなものから小さなものまで、どこかの国でほぼ毎年のように改正されるため、それにキャッチアップしていくのはなかなか骨が折れます。

最近あった法改正で少し気になったのが、シンガポールの審査制度に関する改正です。

特許を取得するためには、まず特許庁に出願をし、次に審査をしてくれるよう特許庁に請求を行い、審査の結果、特許可能と判断されれば、特許を取得することができます。
この審査を請求してから特許を取得するまでに至るルートが、ほとんどの国では、程度の差こそあれ、概ね1つだけしかありませんが、シンガポールではこれが複数用意されていて、非常に複雑なものになっています。

簡単に各ルートの概要を書きますと、第1のルートは、先行技術文献の調査を請求し、その後改めて、先の調査結果に基づいて(発明が特許性(新規性、進歩性など)を有するかどうかの)審査を請求する、という2段階のアプローチをとるものです。第2のルートは、第1のルートの調査と審査をまとめて同時に請求する、というものです。第3のルートは、調査結果は他国で出されたものを利用し、審査だけを請求する、というものです。第4のルートは、他国で出された審査結果をそのまま利用する、というものです。しかも、それぞれのルートでは、「ファースト・トラック」「スロー・トラック」といって、審査を早く進めるのか、それとも遅らせるのかを選択することができるようになっています。

さらに、シンガポールが他の国々と大きく異なるのは、「"Self-assessment"(自己評価)」という制度を採用している点です。この制度は非常に変わっていて、ほとんどの国では、「特許性がある」とう肯定的な審査結果が出された場合にのみ、特許を取得することができるようになっていますが、自己評価制度では、たとえ否定的な審査結果が出されたとしても、出願人が希望すれば、特許を取得することができるようになっています。

以上のようなシンガポールの審査制度が、国際調和という名の下、今月から大きく変更される見込みです。その内容については、ややまだ詳細に不明な部分もありますので、次の機会に少し書いてみたいと思います。

中村 泰弘

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