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2010/11/16弁理士ブログ

科学・技術

少し前の新聞(朝日新聞2010年8月25日夕刊)に、日本学術会議が「科学技術基本法」等における「科学技術」の表記を「科学・技術」に改めるよう勧告を総理大臣に出したとの記事が出ていた。「科学技術」と続けた場合、「科学に基礎づけられた技術」の意味で使われがちで、技術重視になる。短期的に結果を求める成果主義に偏り、将来につながる科学の基礎研究が軽視されることを懸念している、とのことであった。

いわば、「科学」を「科学技術」から独立させようとのことであるが、その意識は重要であると思う。

特許法の保護対象は「発明」であるが、特許法第2条では「発明」を「技術的思想」と位置づけている。すなわち、「科学」に裏付けされない技術であっても、特許により保護される。しかし、科学により基礎づけられた技術の方が広がりを持ち、特許により保護される範囲が広くなることになる。私たち「生まれる発明・育てる弁理士」を標榜する弁理士としては、発明者から発明の説明を受けたとき、できるだけその発明を科学により基礎づけようとする。しかし、先願主義という早い者勝ちの世界では、なかなか基礎法則を究めた後に特許を出願することは難しい。優先権制度という猶予制度があるが、1年という期間はやはり短い。

一方、科学の探求を使命とする大学(の研究部門)が特許で苦労されているのは、見ていて胸が痛む。こちらの方は逆に、科学を技術にすることが求められている。

両者をうまく結びつけるのが「産学連携」であるが、従来の産学連携の多くは学の理論を産に活かすという方向で進められてきた。時間的にやや厳しいが、優先権期間(1年)の間に特定の技術を理論により一般技術に広げ、より魅力的な権利にする産→学連携ができないものかと思う。

小林 良平

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