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2022/10/03弁理士ブログ

特許登録・商標登録制度

少し前にずいぶん話題となりましたが、昨年4月に不動産登記法が改正されました。施行は来年4月からとのことですので、そろそろまた新聞等で取り上げられることが増えてくると思います。

この不動産登記法改正で、住所等変更登記の申請や相続登記の申請が義務化され、義務に違反した場合の罰則規定も設けられました。その目的は所有者不明土地の発生の予防で、所有者不明土地は今や国土の20%以上(2017年国土交通省調査)だそうです。

特許にも登記簿があることをご存じでしょうか。2020年末で約204万件の特許が存在し、それらは全て特許庁の「特許登録原簿」に登録(登記)されています。同じように商標にも「商標登録原簿」があり、2020年末で約197万件の商標が登録されています。土地は所有者が分からなくても土地自体は厳然と存在します。従って、知らずに他人の土地に堂々と工場を建てることはほとんどありません。しかし、知らずに他人の特許を侵害する製品を作ってしまうことは、ままあります。知らずに他人の商標権を侵害する商品を販売することは、さらに多いと思います。

特許の場合、新規なもの(従来、世の中に無かったもの)であって且つ進歩性が認められたものだけが特許になりますので、顧客や世の中の要望に応えて多少形を変えただけのものを作る限りは問題となることは少ないのですが、商標の場合、広辞苑に載っているような言葉や普段見慣れている図形なども登録されますので、「うっかり侵害」が起こりがちです。また、特許の場合、製品の内部を解析しないとその特許権を侵害するかどうか分からないことが多いのですが、商標ですと見ただけで侵害かどうか分かることが多く、このネット販売全盛の時代には、見つからずに使い続けることの方が難しいようになっています。

商標権者にとって、似たような商標が付いていて、しかも中身(品質)が大きく異なる商品が出回るというのは、自社のブランド価値の低下につながりますので、ゆゆしき事態です。これは商標権者ばかりではなく、間違って粗悪品をつかまされる一般の需要者にとっても困った問題です。商標登録制度というのはそのために設けられているのですが、全ての商標を強制的に登録させるものではありません。不正競争防止法等の他の法律で規制することもできますが、いくつかの条件を満たす必要があり、やはり事前に商標登録をしておくのが一番です。

ネット販売の最大のマーケットであるAmazonでは、「ブランド登録」(https://brandservices.amazon.co.jp/brandregistry/)という制度を設けています。このブランド登録には様々な特典が設けられていますが、その条件は、日本や米国、欧州等の商標登録を受けていることです。結局、Amazonマーケット内での商品流通を正常な状態に保つために国家の商標登録制度を利用するというもので、商標登録制度の重要性、有用性がよく分かる一例だと思います。

最近、Amazonのブランド登録に関するお問い合わせが増えています。Amazonに限らず、商標登録でお困りのときは遠慮なく弊所にお問い合わせください。

小林 良平

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