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2022/08/12弁理士ブログ

理数授業と特許出願

仕事柄、新聞や雑誌等に"特許"といった知的財産権に関連する語句を見つけると気になるのですが、ひと月ほど前に、次のような見出しの新聞記事を見つけました。
"「中学の理数授業少ない世代、特許出願数少ない」 研究チームが警鐘"
(2022年7月2日朝日新聞)

この記事は、神戸大学経済経営研究所の西村和雄・特命教授らのチームの研究成果を紹介したもので、それによると、中学時代の3年間にゆとり教育の理数教育を受けた2020年時点における51歳以下の世代は、それよりも前の世代と比べると、特許出願数などの研究開発成果が大きく減少しているとのことで、一人当たりの特許出願件数の具体的な数値がグラフと共に示されていました。

どのような手法で「一人当たりの特許出願件数」を算出したのか気になるところですが、それはさておき、グラフは、中学3年間の理数科目の授業時間が840時間であった52~60歳の世代は年間特許出願数が0.156件/人であったことを、これに対して、授業時間が735時間であった40~51歳の世代では0.108件/人、授業時間が700時間に減った31~39歳の世代では0.100件/人、さらに授業時間が605時間に減った23~30歳の世代では0.094件/人であったことを示していました。

特許出願の多くは企業によるもので、研究職として企業に入社してもすぐに特許出願に関与するわけではなく、また、入社後、ある程度の年数が経過すると管理職に就いて研究から離れる人もいるでしょうから、世代別の特許出願件数を単純に比較することはできないとは思いますが、中学3年間の理数科目の授業時間が大幅に減少した52歳以上の世代と51歳以下の世代との間で特許出願件数がここまで大きく低下すると、理数科目の授業時間数と一人当たりの特許出願件数の間に強い関係があることに疑う余地はないでしょう。

特許出願の手続を代理することが主な業務の一つである私たち弁理士にとって、一人当たりの年間特許出願件数の減少は心配であるものの、それ以上に、理数科目の授業時間がこれほどまで減少していることに驚き、心配になりました。この研究成果が、今後の理数系教育、ひいては学校教育を良い方向に導いてくれることを期待するばかりです。

市岡 牧子

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