2017/05/01弁理士ブログ
心を合わせて
日本で最初に制定された特許法は明治4年(1871年)に公布された「專賣略規則」であるとされています。但し、これは1年で施行中止となり、実質的には14年後の明治18年に公布された「專賣特許條例」が最初の特許法となりました(Wikipedia)。
專賣略規則(明治4年)
何品ニ寄ラス新發明致候者ハ爾来専賣御差許相成候間府藩縣管下ニ於テ願人有之節ハ別紙規則ニ照準シ當分ノ内民部省ヘ可伺出事
特許願の提出先が民部省となっていますが、「新發明」であることの審査が難しかったのかもしれません。
「別紙規則」に実質的な特許法の規定が記載されているのですが、その中に面白い規定があります。
(別紙)
一 數人心ヲ合セ發明シタル品ハ官許状ヲ與フルニ各通ニ相渡サス社中連名ニ認メ下ケ渡スヘシ
発明は、心を合わせて作るものなのです。今の特許法でも、発明とは技術的「思想」の創作であると定義されていますが、発明品というモノは力を合わせて作るにしても、「発明」というのは思想であり、それは心を合わせて作り上げるものである、ということが昔から分かっていたのですね。
私たちは、目に見えない知的財産に関するサービスを提供するという仕事に携わっています。社会の進歩に対応して知的財産制度はより複雑となり、法律はますます精緻化しています。海外への出願も普通のことになりつつあり、出願を依頼される国・地域もますます広がりつつあります。これに対応するには、より多くの従業員が一つの仕事に関与し、智恵を出し合い、心を合わせなければなりません。多くの人が心を合わせられるような環境を作っていく必要があると思う今日この頃です。