京都の社寺
ここ数年、京都は国内外からの観光客で大賑わいをみせています。
そのせいで、有名な社寺ともなるとゆっくり拝観することはままなりませんが、
京都には数多くの社寺があり、思わぬところで魅力的な社寺に出会うことができます。
ちょうど一月ほど前に伏見稲荷大社に出かけたときのことです。
ここは、皆さんご存じのように千本鳥居で有名な神社で、特に海外からの観光客に人気が高い寺社の一つです。ただでさえ初詣客で混雑する時期でもあり、ある程度覚悟はしていましたが、その混み具合はあまりにも凄まじく、急遽行き先を変更したところ、見つけたのが「石峰寺(せきほうじ)」でした。
石峰寺は、伏見稲荷大社から南東に向かって少し歩いたところにあります。
正式には「百丈山 石峰寺」といい、宇治にある黄檗山萬福寺を本山とする黄檗宗(禅宗)の寺院です。
伏見稲荷大社の喧噪が嘘のように静かで、拝観客も数人しかいませんでした。
訪れて初めて知ったのですが、石峰寺は、江戸時代の画家・伊藤若冲が晩年を過ごした寺だそうで、境内に伊藤若冲の墓があります。毎年、命日の9月10日に若冲忌が行われているそうで、その時期に合わせて若冲の作品を展示する「秋の特別展示会」が開催されます。
また、本堂の裏山には、伊藤若冲が下絵を描いて石工に彫らせたという五百羅漢がそこここに配置されており、拝観することができます。
羅漢たちが釈迦の説法を聞く様子を表現した説法場や涅槃場、賽の河原等、釈迦の誕生から涅槃に至るまでの8場面から構成されており、釈迦の周りに配置された羅漢たちの表情がユーモラスで、見ていると楽しくなります。一つ一つ異なる表情の羅漢たちをゆっくり眺めているとあっという間に時間がたってしまい、気がつくと閉門の時間となり慌てて帰りましたが、もう一度訪れたくなる場所でした。
次は是非、秋の特別展示会の開催に合わせて訪れたいと思います。