日本人と新幹線
先日、東京から京都に向けての新幹線に乗車中、折からの大雨のため、途中で停車する憂き目にあいました。2時間近く、本来なら止まるはずのない駅で扉を閉じたまま列車は止まっていましたが、その時感じたことを少し書いてみたいと思います。
まず、周りの様子を時々観ていたところ、やはりというべきか、皆、「いつ動くのか」といった類の文句を乗務員に言うこともなく、音楽を聞いたり、携帯をいじったり、本を読んだり、あるいはボーっとしながら、じっと静かに時をやり過ごしていました。いつ雨が弱まるかわからず、また弱まった後も、途中通過する川がいつ危険水位を下回るか全く見通しがつかなかったので、かなりイライラしていただろうとは思いますが、自分も含め、自然現象だから仕方ないという諦めの境地だったのでしょう。ただ、列車が止まっている間、だいたい10分くらいの間隔で現在の状況がアナウンスされていたので、何とか切れずに持ちこたえられた気がします。こういう非常時には、たとえ状況に変化がなくても、こまめに情報を提供してもらうのが精神衛生上大切なんだと、今更ながら実感しました。
もう一つ感心したのが、運行再開後のリカバリーの良さです。
当然、自分の乗っている列車以外にも、同じように止まっている列車が前方にいくつもあったわけですが、川の水位が下がって運行可能な状況になるや否や、実にスムーズに列車は動きだしてくれました。その後も、徐行をたまに間にはさみつつ、目的地である京都まで無事運んでいってくれましたが、驚いたことに、そのような走り方でもなお、京都に着く頃にはなぜか遅れが30分近く取り戻されていました。自宅に戻ったのはもう日付が変わる頃でかなり疲れてはいましたが、それでもまだましな方だったなと自然に思えたほどです。
よく言われてはいることですが、あれだけ多くの人間を積んで、分刻みのダイヤで毎日高速で走っている新幹線の底力をいろいろな意味で感じさせられました。
政治、経済、いろいろ含め、このところうんざりすることが多いのも事実ですが、日本もまだまだ捨てたものじゃないなと思えたのが、今回、不幸中の幸いでした。