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2011/04/01弁理士ブログ

公共の利益のための特許

今般の大地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
京都では、その時、ゆっくりとした揺れがずいぶん長く続いたものの、物が落ちることはありませんでした。しかし、どこかで大きな地震が起きたという感じがして、すぐにインターネットで震源地等を調べました。まもなく、東北地方で最大震度7という数値が出たのを知り、阪神大震災の時に作られた最大震度値であることから、たいへんなことが起こったことを理解しました。その後の惨状は、津波の他に福島原子力発電所の事故が重なったこともあり、まさに想像を絶するものでした。

現時点でも、亡くなられた方々、行方のわからない方々の数が増え続けており、原子力発電所の事故も終息のめどがたっていません。しかし、被災者の方々は生活の再建に向けて進み始めておられ、支援の動きも何とか軌道に乗りつつあるように思われます。こちらでは頑張ってくださいと願う心の支援と義援金による支援しかできませんが、できれば現地に赴いて自分の手で何かお手伝いができればと思っています。

今回の地震は千年に一度の地震だと言われています。人間がここ数百年蓄積した技術で作り上げた近代的都市や工場が破壊されたのを目の当たりにした時、私たちにはまだまだ長い時間の努力が必要であることがわかりました。
しかし、人間が千年以上かけて培ってきた家族愛や友情、助け合いという心は、千年に一度の大災害を超えて有効であることを証明しました。この点についての私たちのこれまでの進み方が誤っていなかったことを喜びたいと思います。

特許法では、特許された発明が公共の利益のため特に必要であるとき、その特許発明の実施をしようとする者は特許権者に対し実施の許諾を求めることができるとされています。また、許諾が得られない場合は経済産業大臣の裁定を請求することができるとされています(特許法第93条)。過去、この条文が適用された例は無いと言われていますが、今回の地震の経験をも取り入れて、公共の利益のために特に必要とされる発明が生まれることを期待したいと思います。

小林 良平

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